2016年 06月 10日 | セミナー・お知らせ | Posted by ブログ管理者

去る6月2日(木)、トリニティが講演を行う日経BP社・日経デザイン誌主催、「ワールドデザイントレンドセミナー」が開催されました。

今回も例年どおり90名もの方にご参加頂き、製品開発におけるデザイントレンド、そしてCMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)への関心の高さが伺われるものでした。

会場となったのは秋葉原の富士ソフトアキバビル内の、アキバプラザ。余談ですが、この富士ソフトアキバビル内には、メーカーズの間で話題のDMM.makeAKIBAもあります。
秋葉原でも新しく開発された、イノベーションを生む新たなエリアになっています。

さて、毎年恒例となった本セミナーは、トリニティが本セミナーの企画立ち上げより協業しているものであり、3人のプレゼンテーターによる、3部構成でのお届けとなっています。

開会は、日経デザイン誌の丸尾編集長から来場頂いた皆様への惜しみない謝辞にて幕開け。本当にこうして集まって頂けたことにトリニティ一同としても、感謝の気持ちです。

講演者のトップバッターを飾るのは、日経デザイン誌をはじめ数々のデザイン系メディアで執筆をされている高橋美礼さん。
2000年頃から毎年ミラノサローネに通い、今年で16回目になるそうです。

高橋美礼さん.jpg
高橋美礼氏の講演では、氏の撮影してきた写真と共にミラノ市内のサローネ会場の周遊を追体験する

高橋さんの講演では、ご自身が会場やミラノ市内を歩きまわって撮影された写真を投影しながら、現地の見どころを訪ねる行程を追体験していきます。
ご本人もおっしゃっていましたが、サローネは本当に見切れない規模での開催となっているため、講演用のスライド数もかなりの量。スピーディーに次々見どころを進めての進行です。

作品の紹介で目立ったところでは、佐藤オオキ氏率いるnendoの作品が、色々なブランドで展開していたことと、深澤直人×ジャスパー・モリソンによる(2006年に発信された)スーパーノーマル展の流れを組む作品や、パトリシラ・ウルキオラといった著名デザイナーの手になる作品がよく取り上げられていました。

特に我々日本人にとって注目のトピックは、日本の家具メーカーとしては初めてパビリオン出展を果たしたマルニ木工。サローネの会場で日本のメーカーがスペースを取るのはかなり難しいとのこと。深澤直人、ジャスパー・モリソン両氏との長年の協業、そして辛抱強く実績を積み上げて主催側と交渉を続けた結果の今回の出展ということで、とても嬉しく、感慨深いエピソードでした。

また、市内ではイゾラ地区という、新たなトレンドスポットの出現が報告に沿えられていました。こういった現地ならではの情報によって、聞いているほうも実際に現地を訪問したかのような、サローネのリアルな興奮が伝わってくるものでした。

さて、高橋美礼さんの講演で今年のサローネの見どころを追体験した後には、いよいよトリニティの出番です。

トリニティの講演は「ミラノサローネから分析する最先端のCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)トレンド」と題して、サローネの概要というよりも、膨大な出展作品から、今年のトレンドをカラー(色)、マテリアル(素材)、フィニッシュ(仕上げ)の観点から詳細に分析していくものです。サローネで収集した情報をどのように読み解けばよいか、そこからどんな傾向が読み解けるか、についてのトリニティからの1つの解答であり、製品開発ご担当者様に必見の、明日から役立つ内容になっています。

その内容を一部、ご紹介します。
まず、色傾向についてですが、今年は昨年から引き続き、明度・彩度が共に低く渋い傾向にあるものの、ややくすみがとれてきたようです。また、サローネならではの色の傾向として、グリーンがスタンダードな色として定着してきたのもポイントです。

ちなみに今年のPantoneのトレンドカラーもクリーミーかつパステルな、ピンクとブルーという、初の2色展開となっているのですが、この2色が分離することなくグラデーションで表現されたカラーチップが公開されています。
ROSE QUARTZ & SERENITY
http://www.pantone.jp/color-of-the-year-2016?from=hpSlider

この背景には、ジェンダーレスをはじめとする、あらゆる境界のない世界への渇望が反映されているとトリニティでは考察しているのですが...さて、みなさんはどう思われますか?

一方、素材と仕上げの傾向としては、素材そのものの「地」を生かした表現が散見されます。たとえば大理石ならば、その石目の模様を活用した表現などがそれです。他には、金属のコルテンカラー(錆色)の処理も多くのプロダクトで見られました。

また、トレンドは今を見るためではなく、トレンドの周期を見つけることで未来予測もできることをわかりやすく解説しました。

トリニティ・デザインリサーチャー村田まゆみ2.jpg
トリニティのデザインリサーチャー・村田まゆみ。CMFの観点に特化したサローネのレポートは、実用的で明日からの業務にも活用して頂けるもの

この他、もっと細かくご紹介しているのですが、それはご参加頂いた方にだけ、お持ち帰り頂きたいと思います。

そして3人目の講演者は、毎年海外見本市に進出している日本のブランドの方にお話頂いています。今年は、西陣織の老舗、株式会社細尾の細尾真孝さん。
ロンドンのVictoria & Albert 美術館での展示から帰国したばかりという、大変ご多忙なスケジュールの中を縫って、羽田から直接会場に駆けつけて頂きました。

細尾は西陣織の老舗でありながら、ディオール、シャネル、ルイ・ヴィトンなど世界の一流ブランドと次々とコラボを広げています。細尾氏のプレゼンスライドからは、次々と華やかな海外での晴れ舞台の模様が映し出されていきます。

しかし、現在に至るまでには、国内の着物市場の先行きに対する見通しの厳しさや、海外出展の経験がない中での苦い経験もあったと言います。それでも古くからの伝統と技術力に対する自信と確信を持っていたからこそ、西陣織が世界に通用する「強み」を見出し、海外からもその価値を見出されることに繋がったことに違いありません。

西陣織のファブリックを他の製品に展開する上で制約となったのが、古来からの帯幅。
それに対して、より幅広く織ることのできるよう、織り機そのものを新造することで対応するなど、伝統を次代に伝えていくだけでなく、時に大胆に革新を取り入れていることで、世界へと西陣織の新たな魅力を発信することができたのでしょう。

細尾真孝氏.jpg
細尾真孝氏。元はミュージシャンであったというエピソードに驚きの声も。従来の枠組みにとらわれない発想で、次代の日本の伝統文化を担う

そんな細尾様ならではの新たな試みとして、バイオテクノロジーを活用した絹を使った作品をいくつかご紹介頂きました。なんと、クラゲのDNAを蚕に組み込むことで、暗闇に特殊な光を当てると美しく発光するファブリックが誕生。
他にもまだまだ、バイオテクノロジーを活用したファブリックの可能性があるそうです。

また、細尾真孝氏は京都の伝統工芸6社の若手後継者による、GO ONプロジェクトも推進。
急速に縮小している日本の伝統工芸ならではの良さを再び見つめ直す活動も積極的に行っています。海外に立ち向かうために必要なのは、「圧倒的な差別化」であると細尾氏。
子供達が将来、伝統工芸に憧れ、目指したいと思ってくれるように...目を輝かせて語るその言葉が、現実のものとなることを願ってやみません。

3時間半と決して短くはない講演ですが、終わってみればあっという間にすら感じる内容・密度の濃さ。最後まで聞いて頂いた方は、ご自分の中で振り返ってまとめる作業が大変かもしれません。ですが、きっと数多くの収穫を持ち帰られたのではないかと、胸を張って言えるようなセミナーになったかと思います。

ご来場頂いた皆様、本当にどうもありがとうございました。

サローネセミナー質疑応答.jpg
最後の質疑応答の1コマ。参加者も大変知見のある方が多く、投げかけらる一問一問が非常に深い内容だったのが印象的。

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